妊婦さんとお口の健康
妊娠したら
妊娠は新しい命を授かりとても喜ばしいことです。しかしホルモンのバランスや食生活習慣の変化によってむし歯や歯肉炎が進行しやすくなります。また、生まれてくるお子さんのためにも妊娠中のお口の健康につて気をつけることが大切です。
この時期は①自分自身のお口の中の状態を知ること②お口の中のケアーについて確認すること③お口の定期検査と予防処置を行い必要があれば治療を行うこと④妊娠中のお口の中の環境が生まれてくるお子さんのお口や体の環境に関係することを知ることが大事です。
妊婦さんの症状
妊娠中は、つわりの症状が重いことによる歯磨き不足や女性ホルモンによる歯肉への影響、不規則になりがちな食生活などが原因となりむし歯や歯肉炎が悪化しやすくなります。妊娠中の歯肉炎は約半数の方に生じると言われています。この時期の口腔ケアーはとても大切です。
お子さんに与える影響 ①
歯周病は特に気をつけなければなりません。歯肉に炎症が生じるとその炎症性物質が血液中に入り込み早産・低体重児出産のリスクの因子になると言われています。これは喫煙や飲酒による早産のリスクの約3倍に対し、約7倍ものリスクになります。これからお子さんを考えているお母様は妊娠前にお口の健康について注意をしていくことが重要です。
お子さんに与える影響 ②
喫煙習慣にある妊婦さんや同居者に喫煙者がいる妊婦さん(受動喫煙)は胎児の発達が悪くなるリスクが高まります。さらに妊娠合併症(切迫流産や早産など)のリスクが高まるほか、低出生体重児や乳幼児突然死症候群のリスク因子にもなります。また歯周組織の修復機能が弱くなったり、細菌の活動を活発にすることから、歯周病の最大のリスクとなっています。さらに口腔がんの危険因子にもなります。
妊娠中の歯科医療
妊娠中の歯科治療は安定期(16~27週)におこなうことが望ましくなります。婦人科の先生に歯の治療をすることは事前に伝えておいたほうがいいでしょう。
①レントゲン撮影
レントゲン撮影はお口の中の状態を診断するのにとても大事な検査です。歯科で撮影するレントゲン撮影は線量が低く、また顎や歯のみに照射するので鉛製のエプロンを装着すれば胎児の被曝量はほとんどないので心配ありません。
②歯科麻酔
歯科で使用する局所麻酔はキシロカインというものを使用し、通常の使用量では胎児への影響はありません。無痛分娩に使われる薬剤もキシロカインです。
③薬の副作用
歯科医院では原則として投薬はいたしません。痛みがひどい時は我慢をすると逆に胎児への影響がよくありませんので産婦人科医と相談して薬を出すこともあります。
妊娠中は胎児の成長に伴って様々な変化が生じます。妊娠中のお体のリスクとして「妊娠高血圧症」「妊娠糖尿病」「妊娠貧血」などがあります。産婦人科でこのようなご指摘を受けている方は受診前にお申し出ください。
セルフケアーのポイント
A. 歯ブラシ
サイズは小さめ・柄はまっすぐ・毛の硬さはふつう
B. みがき方
小さい横みがき・軽い力で歯みがき・鉛筆持ちがおすすめ
C. 歯みがき剤
むし歯の予防のためにフッ化物配合歯磨剤を使いましょう
つわりの時は・・・
子ども用などの小さな歯ブラシで磨いてみましょう。歯みがきが辛い時は、低刺激性のマウスウオッシュなどを使い、まめにうがいをしますよう。
歯と歯の間の清掃は、デンタルフロスがおすすめです。ブリッジなど隙間が大きい場所には歯間ブラシがおすすめです。
お子さんのむし歯予防
現在むし歯も、治療した過去のむし歯もない状態を「カリエスフリー」といいます。お子さんの歯とお口の健康は一生の宝です。むし歯ゼロを目標にしましょう!
カリエスフリーのためにできること
3歳児カリエスフリー85プロジェクト
仙台市では3歳児検診でむし歯のない子が85%になるように「3歳児カリエスフリー85プロジェクト」を行なっています。乳児検診を市内小児科の登録医療機関で受診した際「せんだいでんたるノート」を渡してもらえます。家族みんなでかかりつけ歯科医をもち歯と口の健康作りを始めましょう。