歯周病の正体
歯周病とはどのような病気でしょうか
歯周病とは
歯周病は、歯垢(プラーク)の中に含まれる細菌が引き起こす感染症で、生活習慣病でもあります。初めは歯ぐきが赤くなって晴れてきたり、血が出るようになります。進行すると歯ぐきの腫れが大きくなって膿がでてきます。さらに歯が動き始め硬いものなどが噛みにくくなってきます。
ついには歯を支える骨(歯槽骨)がなくなって、歯がグラグラになり抜けてしまうのです。
歯周病の原因
ブラッシングが十分でなかったり、砂糖をたくさん摂取すると、細菌がネバネバした物質を作り出して歯の表面に付着します。これを歯垢=プラークといいます。
歯垢(プラーク)は食べ物のカスのように思われがちですが実は”細菌の塊”なのです。1mgの中に1億個以上いると言われる細菌が毒素を出し、虫歯や歯周病を引き起こします。プラークは粘着性が高く、うがい程度では落ちません。だから歯垢をとるには歯ブラシが必要なのです。
歯周病の原因には他にも
Check>>こんな症状があったら歯周病です
歯周病の検査
歯周病は、軽症のときはあまり痛みはなく症状が感じにくい病気です。軽症を含めると20歳以上の90%が歯周病といわれています。歯周病を治療していくには全体の検査が必要です。
①歯周ポケット
歯と歯ぐきの間には隙間があり溝になっています。健康なときは歯肉溝といいますがそこにプラークの中の細菌が侵入して歯周ポケットが形成されます。そのままになっていると少しずつ奥の方に進行していくのです。
②歯垢
歯垢がどれくらい歯の周りに付いているかを診ます。プラークレコードといわれ、健康を保つには20%以内が理想とされています。
③歯の動揺度
歯の動きを診ます。沈み込む状態は、歯の根の先端付近まで歯周病が進行していることが考えられます。
④お口の中の写真撮影
歯周病を治療していくと歯ぐきに変化が認められます。その変化を記録し治療に役立てます。
⑤レントゲン撮影
お口の中を10枚に分けて撮影します。より細かい状態を診断するために必要な検査で、歯を支えている歯槽骨の状態を判断いたします。
歯周病の治療の流れ
①お口の検査
②治療計画を立てる
③治療の説明
④歯周基本治療
ーブラッシングの練習
ー歯石のお掃除
ー歯周ポケット内の歯石の除去(SRPルートプレーニング)
ーむし歯の治療
ー矯正治療
⑤再検査(基本治療の再評価)
《軽症・中等症》 《重症》
⑥補綴治療 ⑥歯周外科処置
(かぶせたり入れ歯の治療) ⑦再評価(外科治療の再評価)
⑦メインテナンス ⑧補綴治療
(3〜4ヶ月) ⑨メインテナンス
メインテナンスが重要!!
治療が終了して良くなったお口の中もそのままになっていると元に戻ってしまいます。歯科衛生士によるお口のお手入れが大事です。3〜4ヶ月おきに行っていくことで健康を維持します。歯周ポケット内の細菌はブラッシングをしていても少しづつ増えてくるのでお手入れが必要となります。メインテナンスでは汚れのチェック、歯周ポケットの検査、クリーニングを行います。
歯周病と全身の関係
歯周病は歯垢(プラーク)の中に含まれる細菌が引き起こす感染症で、歯ぐきが赤く腫れ、出血や膿が出てきます。さらに放っておくと歯を支える骨(歯槽骨)がなくなり、抜けてしまう恐ろしい疾患です。(歯周病の詳しいお話は「歯周病の正体」をご覧ください)さてこの歯周病は全身の疾患と関係があることをご存知でしょうか?
歯周病 × 全身の疾患
case 1 肺炎・気管支炎
お口の中に歯垢(プラーク)が多くなると、その中の細菌や、免疫の反応によって作り出される化学物質が唾液に混じって気管内に入り込み、、その炎症が肺炎や気管支炎を引き起こします。
特にお年寄りの方は食べ物や飲み物をうまく飲み込めないで、むせてしまうことがあります。(=誤嚥)。これが原因で誤嚥性肺炎を引き起こしてしまうことがあります。
case 2.心臓病・脳卒中
歯周ポケットに潛む歯周病菌は血管にも入り込んでいきます。この血管中に入り込んだ歯周病菌は、心臓の周りにある血管(=冠動脈)に留まり血の塊(血栓)をつくります。ここが塞がれると心臓の筋肉に酸素や栄養がいかなくなり狭心症や心筋梗塞を引き起こします。
心臓だけでなく脳の血管も同じように塞がれると脳卒中を引き起こしてしまいます。また心臓の弁に障害のある方は、心臓の中に入り込んだ歯周病菌が炎症の原因になる場合もありますので注意が
case 3. 糖尿病
糖尿病とはインスリンというホルモンの働きが出にくくなり、血糖値が高くなる病気です。放置すると目や腎臓、神経障害など全身に様々な影響が出てしまいます。
実はこの糖尿病と歯周病が関係していることはご存知ですか?
歯周病が進行し歯ぐきに炎症が起こると、その炎症から化学物質が歯ぐきだけでなく体の中でも増えていきます。これが肝臓に作用してブドウ糖の代謝を下げます。
これらの影響から血液中のインスリンの働きを鈍くさせ、糖尿病を悪化させます。
歯周病をきちんと治療することで、糖尿病の治療効果が上がったという報告もたくさんあります。
case 4. 早産・低体重児出産
早産や低体重児出産の原因に、喫煙や飲酒などは広く知られておりますが、歯周病も関係していることはご存知ですか?歯周病による歯ぐきの炎症で化学物質などが血液中に増えることでお産が早まり、早産につながる原因になります。また、血管から羊水内に入った歯周病菌が胎児の成長に影響し、低体重児出産の原因となります。
妊婦さんのお口の健康を維持することは、生まれてくるお子さんの」ために大事なですね。(※妊婦さんの詳しいお話は、「妊婦さんとお口の健康」をご覧ください。
メンテナンスが重要
治療が終了して良くなったお口でもそのままになっていると元に戻ってしまいます。歯科衛生士によるお口のお手入れが大事です。3~4ヶ月おきに行なっていくことで健康を維持します。歯周ポケット内の細菌はブラッシングをしていても少しづつ増えてくるのでお手入れが必要となります。
メインテナンスでは汚れのチェック、歯周ポケットの検査、クリーニングを行います。
タバコが歯周病に影響する
最近話題の電子タバコを含めた喫煙は歯周病にかかる危険性を高め、症状を悪化させる大きなリスクファクター(要因)になっています。
歯肉の粘膜からニコチンや一酸化炭素(CO2)を吸収し血管を収縮させて歯肉の血行不良を引き起こします。それに加え歯周病菌と戦う免疫力の正常な機能を奪い、治癒能力を減弱させます。
多くの歯を維持して質の高い生活を送るためには断然「禁煙」が必要です。
▼歯周病の症状
▼たばこのリスクは他にも