骨粗しょう症と歯科治療
骨そしょう症とは
骨粗しょう症とは骨の微細構造が変化して、骨が弱くなり骨折しやすい状態をいいます。一般的に骨量(骨密度)が若年成人平均値の80~70%で「骨量減少」、70%未満になると「骨粗しょう症」と診断されます。また主な合併症として大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)骨折、椎体(ついたい)骨折、橈骨(とうこつ)※腕の骨骨折などがあります。
現在骨粗しょう症の治療としてBP製剤(ビスホスホネート製剤)が処方され、多くの方が服用されています。またこのお薬はがんの治療をされている方も服用することがあります。
このお薬を継続的に服用している患者さんが、歯科治療において抜歯などの外科的治療を行なった際、顎骨の壊死(抜歯後の傷の治りが悪くなること)が起きるケースがあるため注意が必要です。
歯科治療とBP製剤服用の注意点
〉〉これから投与を予定している方
投与前にはお口の衛生状態を良好に保つことが大切です。歯周病が大きく進行していたり、大きな根尖病巣(歯根の先端にばい菌が溜まる)のある歯、破折(割れている)歯などは顎骨壊死のリスクが高くなりため抜歯してから投与を始める方が望ましいです。
〉〉既に服用されている方
投与期間が3年未満の方は、外科処置前にお口の衛生状態を良好に保つこと以外、原則としてお薬の休薬は必要ありません。
3年以上の方で、且つ骨折のリスクの高くない場合、休薬してから外科処置を行うことが望ましいとされています。この判断はお薬を処方してもらう医師と歯科医師で連携を取ることが大切です。投与の再開は処置後粘膜が覆われる2週間前後か、余裕がある場合は十分な骨性治癒が期待できる2ヶ月前後が望ましいです。
また、休薬していても外科処置後の傷が治りが悪くなったり、顎骨壊死が起きる場合があります。その際は専門の歯科口腔外科を受診していただくことが必要になります。
骨粗しょう症を予防することは、お口の健康のためにもとても大事なことになってきます。
日頃の身体づくりが大切!
骨粗しょう症には、日頃の食事や運動など、日常生活のちょっとした注意が必要です。規則的な運動とバランスのとれた食事を心がけましょう。
〉〉骨密度を低下させない食事療法
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど骨の形成に役立つ栄養素を積極的に摂りましょう。特にカルシウムとビタミンDを同時に摂ることで、腸管のカルシウム吸収率がよくなります。
また、高齢になると食の好みが変わったり、少食になったりしてタンパク質の摂取量が不足する傾向があります。タンパク質の摂取量が少ないと骨密度低下を助長しますので、意識して摂取しましょう。
栄養やカロリーバランスの良い食事を規則的に摂り日々の健康を保ちましょう。
骨を強くする運動をしましょう!
骨は、負担がかかるほど骨をつくる細胞が活発になり、強くなる性質があります。散歩を日課にしたり、階段の上がり下がりを取り入れるなど、日常生活の中でできるだけ運動量を増やしましょう。
骨折予防に有効な運動は、ウオーキング、ジョギング、エアロビクスなどがありますが、ご自身のお体の状態に合わせて無理なく続けることが大切です。
また、骨粗しょう症を治療中の方や膝に痛みがある方は、運動を開始する前にかかりつけの医師に相談してください。