歯ぎしりのヒミツ
歯ぎしりとは・・・
睡眠している人が「ギリギリ」「ガリガリ」と音を出しているのを聞いたことはありませんか?歯ぎしりですね。一般的には音があることで歯ぎしりと認識します。
実は音がなっていなくてもほとんどの方が歯ぎしりをしています。音が出ている方は1〜2割でほとんどの方は音が出ていないのです。朝起きた時顎が疲れた感じがあるとか、虫歯がないのに朝起きた時歯に違和感を感じる方はその疑いがあるかもしれません。その歯ぎしりに3つの種類があります。グリグリとこすり合せる動きの「グライディング」は音が出るタイプ、動きは少ないですが噛んだ位置で強く噛みしめる「クレンチング」、カチカチと素早く開閉口する「タッピング」の3種類があります。
くさび状欠損
「クレンチング」など、音が出ていない歯ぎしりでも強い時は起きている時の2〜3倍くらいの力で行なっていると言われています。
歯に力が加わると歯の結晶にヒビが入ります。特に歯と歯ぐきの境目は力の影響が集中するところですので繰り返し力の影響を受けていると大きくかけてしまうのです。これをくさび状欠損といいます。歯は表面がエナメル質であり、その中が象牙質となっていますが、歯が欠けるとその象牙質が水や食べ物などと直接接してしまい、冷たいものがしみてしまいます。
歯ぎしりで冷たいものが歯にしみる!
このようにむし歯でないのに冷たいものがしみる”知覚過敏症”の原因はほとんどが歯ぎしりです。レントゲンを撮影しむし歯が確認されなければ知覚過敏のお薬をしみる部分に塗ってシミ方を抑えます。ほとんどのケースはこの薬でよくなります。テレビでコマーシャルされている歯みがき剤にもその成分が入っているものがあり、一定の効果があります。
その他の症状と対処法
歯に強い力が加わり外傷になっている時はかみ合わせの調整が必要です。歯ぎしりが強い方はマウスピースを装着するのが効果的です。歯同士でこすり合わせていると歯が壊れていきますが、そこにマウスピースを挟むことで歯をガードしてくれるのです。
歯ぎしりは病気ではない
歯ぎしりは寝ている時の脳の働きで起こります。近年の研究でストレスを解消する為に起こしていることがわかってきました。
つまり体にとって歯ぎしりは必要なもので、病気ではないのです。年齢的に一番多いのが3〜6歳くらいと言われています。この年齢のお子さんの歯ぎしりは大概様子をみていて大丈夫ですが、歯に痛みが出たりした時は歯科医院に相談してください。
歯ぎしりは病気ではなくむしろストレスの解消に大切なものとお話をしました。歯ぎしりをしてストレスを解消し、かつ歯に負担が少なければそれが理想的です。そのためには噛み合わせがとても大事になります。歯が重なってうまく歯ぎしりができない人は矯正治療が有効な治療になります。つまり、歯ぎしりしてもお口にトラブルができない噛み合わせが大事なのです。快適に”健康な歯ぎしり”をしたものですね。
歯ぎしりからくるお口のトラブル
歯ぎしりでどのようなことが起こるのでしょうか。くさび状欠損、知覚過敏以外にも、歯の摩耗、歯の動揺、歯周組織の障害、顎関節の機能障害、咀嚼筋の過緊張などが歯ぎしりの原因で起こります。具体的には・・・
1. 顎関節症になる
朝起きた時に顎が痛いのは歯ぎしりが原因です。様子を見ても痛みが減少しないときはマウスピースを入れる必要があります。
2. 被せ物が取れる
被せているものが取れたり、壊れたりする原因になります。
3. 歯が割れてしまう
歯に強い力が加わると歯は割れてしまうことがあります。歯の上の方がかけた時は修復することができますが、歯根(根っこ)の方が割れた時は抜歯しなければならなくなります。
4. 歯が削れてしまう
動くタイプの「グライディング」はエナメル質を削ってしまいます。食べた時に痛み、エナメル質がなくなってしまうと象牙質が表に露出してしまいます。
お口の健康手帳
当院では定期的なメインテナンスをされている患者さんにお口の健康手帳をお渡ししております。歯垢の残り具合、歯周ポケットの変化の記録を手帳にファイルして頂き、変化を見ることでお口の健康維持に繋げてください。